ビジネス雑感

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責任は俺が取る

上司になったら一度は言ってみたい言葉だったりしませんか?ちょっとかっこいいですしね。私は言ったことはありませんが(そういう職位でもないし)、言われたことはあります。難易度の高い仕事で、これ、ちょっとやそっとではうまくいかないなぁ、というときに「とにかくやってみよう。うまくいなかったら責任は俺が取るから」と。

結果については申しますまい。そのことが問題なのではないですから。

で、ふと考えてみたわけです。この場合の責任って何でしょう?たとえば、新事業をする場合、担当者が経営に責任を負うなんてできるわけがなくって、それは事業責任者の専任事項となるわけです。そうなるとこの言葉の出番はないことになります。あるいはあってはならないことですが不正行為に見てみぬをふりをする、とか、実行するとか。前者の道義的な問題は置いといて、後者は実行犯として「責任は俺が取る」なんてナンセンスです。ヤクザ屋さんの世界みたいに俺の代わりに2~3年臭い飯を食ってくれ、帰ってきたら悪いようにしないから、なんて言葉が通じる会社なんて、かなりイヤですね。

もうちょっと穏便に、難しいタスクのレベルだとしましょう。たとえば営業ならチョー困難な新規先の獲得、開発なら新製品開発やPJたてなおしとか。経理・総務の業務効率化でも良いかもしれません。あくまで担当者レベルなことがポイントです。担当者としてはその仕事に邁進するわけです。でも結果が出ずに、年度末がやってくる。目標管理制度や業績評価制度を取り入れている会社も多いと思いますが、そうした制度の下では担当者は「がんばった」ではなく「成果を出したか」がメインで評価されます(若干極論ですが)。となると担当者の評価は芳しくないものになります。一方「責任」をとってくれるはずの上席者は担当レベルではなく、上席としての範囲・職務(たとえば部や課のレベル)で評価されるわけで、一つうまくいかない仕事がありましたが、他はうまくできました、というようなリスクヘッジが取れます。

これは極論ですが、どうもその響きのかっこよさに比べて、「責任は俺が取る」という言葉は意味がない言葉のように思います。その言葉を言う人はもともと自分の責任だったものを部下に投げているだけなのかもしれませんね。